銃弾

全部嘘です。

米原のおはなし

みんな、米原って知ってる?

関西の人はJRの新快速で米原行きってのが結構あるから見たことがあるって人が多いと思う。ただ不可解なことがあって、あんなに米原行きの電車がたくさんあるのに米原へ行ったという人に28年間生きてきて出会ったことがない。おそらくまだ人類でだれも到達したことのない未開の地で、忘れられた土地なのであろう。絶対に。

先日、僕は仕事で姫路へ行っていて、その仕事終わりに姫路でのんで帰宅した。その日は日本酒を飲んでいたせいか新快速に乗るや否や眠りに落ちてしまった。

どれくらい経っただろうか、ふと目が覚めると電車の外には見知らぬ風景。以前同じく姫路で飲んで新快速で寝過ごして山科まで行ったことがあるので、また山科まで来てしまったか、と思いつつ電車を降りる準備をした。念のためGoogleマップで現在地を調べるとちょうど彦根を過ぎたところだったので「彦根だ」と思った。

次の停車駅を調べるとどうやら米原らしい。時間は23時過ぎ。嫌な予感を感じつつとりあえず戻れるところまで引き返そうと思い電車を急いでおりた。最悪なことに全ての電車が既に無くなっていてうなだれる。ふと顔を上げる。人がいない。

これはもしかして、オカルト話でよく聞くパラレルワールドに来てしまったのではないか?ないか。とか思う。

どうやら俺が人類で初めて米原に降り立った人間になってしまったようだ。

兎に角、電車は無いし一夜を明かす場所を探すことにした。

駅から出るが何もない。

ネットで検索する。

何もない。

どうやら1番近い町は彦根らしい。

彦根は1つ手前の駅、歩いて20分くらいかと検索すると1時間半とのこと。

とのこと、、、

辺境の地までいくと一駅のスパンがありえないほど長い。いや、実際にあったからありえにくいと言うべきか。

タクシーは走ってないし、もう歩くしかない。

長い道中色々な感情を押し殺すためにiPhoneで音楽を聴く。心が無になっているため聴きたい曲がない。全曲シャッフル。

高校生の時に聴いてたパンクバンドが流れる。うるさい。

疾走感のあるメロディー、ストレートな歌詞、

うるさい。

音楽も止めて無心で歩く。

幸い幹線道路を一本道で進むルートだった為迷うことは無かった。

幹線道路なのに街灯も少なく、トラックの輸送ルートにあたるらしくトラックがかなりのスピードで走っている。そんな道なのに所々歩道がない。バグなんじゃないかと思う。

数回轢き殺されながら歩く。最終目的地は決めていない。兎に角寝床を。

米原まで来てしまうと翌日の出社時間に間に合わそうと思うと5:30の電車に乗る必要がある。時刻は既に1:30。ホテルに泊まるのも馬鹿らしくなりネットカフェに泊まることに決める。

※ネットカフェとは、インターネットに接続したコンピュータが利用できる喫茶店。インターネット カフェ。

駅から近いネットカフェを探す。

※ネットカフェとは、インターネットに接続したコンピュータが利用できる喫茶店。インターネット カフェ。

快活クラブ彦根店が1番良さそうだ。

あと10分。長い旅も終わりを告げる。

足は痺れてきたし、外は寒くて髪もいくばくか凍り始めてる。

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着いた、

長い旅路だった。歩き始めてからどれくらい経っただろうか。あまりにも長過ぎた故、道中何があったかも覚えていない。歩き始めた頃がついさっきのことのように思える。なぜなら本当についさっきだから。

本当に困った時、助けてくれるのは親でも友達でもなく、快活クラブ彦根店なんだなとしみじみ思った。これからもずっと快活クラブ彦根店を大事にしていきたいと思った。